日ASEANの経済成長戦略を加速する 〜官民連携の枠組み「DISG」、共同宣言を採択〜

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日ASEANの経済成長戦略を加速する 〜官民連携の枠組み「DISG」、共同宣言を採択〜

公開日 2026.07.24 Sponsored

2020年に発足した日ASEANの対話プラットフォーム「DISG(Dialogue for Innovative and Sustainable Growth)」は、これまでオンラインを中心に会合を重ねてきたが、2026年7月8日、その歩みは新たな段階を迎えた。タイ・バンコクのカールトンホテル バンコク スクンビットで開催された「第18回DISGタスクフォース会議」は、DISG発足以来初のオフラインでの会合となった。より実践的な議論が交わされ、「DISGタスクフォース共同宣言」の採択へと、その協力関係を大きく進展させた。

第18回DISGタスクフォース会議の様子

DISGの歩み:2025年9月、新体制発足とともに「共創」へと方針転換

DISGは、2020年の日ASEAN経済大臣会合での合意を受け、両地域の経済協力を「構想」から「実行」へとつなげることを目的に始まった対話の枠組みだ。日本貿易振興機構(JETRO)やASEANビジネス諮問委員会(ASEAN-BAC)など13の経済団体と連携し、現場で生まれた課題やプロジェクトを、日ASEAN経済大臣会合(AEM-METI)へ提言・報告する「官民一体のPDCAサイクル」を特長とする。

2025年9月、DISGチェアマンに経済産業大臣秘書官を歴任した呉村益生氏が就任し、新体制が発足。同月、新たな協力方針「共創(Co-Creation)」が発表された。当時の公式リリースによれば、背景にあるのは、日本とASEAN全体における構造変化だ。米中対立をはじめとする地政学的緊張、人工知能(AI)・デジタル化の急速な進展、そしてエネルギー供給への不安——。1970〜80年代、日本はASEANを主に生産拠点として位置づけ、モノづくりを通じた支援を行ってきたが、ASEANが巨大な成長マーケットへと進化した今、「両者の関係は一方的な支援から、日本の技術力とASEANの成長力・市場力を掛け合わせて新たな価値をともに創り出すフェーズへと移行している」と呉村氏は強調している。

こうした認識のもと、「サプライチェーンの強靭化」「デジタル・AI投資」「イノベーション共創」「アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)によるエネルギートランジション」の4つの柱を打ち出し、DISGは官民連携による具体的なプロジェクトの創出と実装を担ってきた。

第18回DISG会議:各国代表による対話の深化

4つの柱の進捗と「AZECプラス」構想

会議冒頭、呉村氏は、この4本柱それぞれの進捗を報告した。サプライチェーン強靭化については、ASEAN主要国との協議を通じた産業自立支援の可能性に言及。イノベーション共創では、周辺4カ国で開催された「Fast Track Pitch」(応募410件、参加者776名)や「ヤングリーダーサミット」の成果を紹介した。AI・デジタル投資ではデータセンターや半導体分野での協力の必要性を述べ、エネルギー分野では従来のAZECに安全保障の視点を加えた「AZECプラス」構想を新たに打ち出した。

続く基調講演では、タマサート大学ビジネススクールのパウィダー・パーナノン教授が、グローバル・サプライチェーンが「効率優先」から「安全保障・強靭性重視」へ転換しつつある構造を指摘。東アジア・ASEAN経済研究センター(ERIA)の奥山裕太氏は、サプライチェーン分析やASEANの石油備蓄戦略構想を紹介し、協調的なアプローチによる経済強靭性の強化を訴えた。

DISGチェアマンの呉村益生氏
タマサート大学のパウィダー・パーナノン教授
東アジア・ASEAN経済研究センターの奥山裕太氏

各国代表が語る、現場の課題と可能性

第2部では、フィリピン商工会議所のペリー・フェラー氏、タイ商工会議所のワォラタット・タンティモンコンスック氏が登壇。フィリピンからはインフラ品質や所得格差といった構造的課題とともに、半導体産業や「ルソン経済回廊」構想といった強みが示され、タイからはメコン地域の立地を活かした大メコン圏経済協力(GMS)や物流のデジタル化が提案された。

フィリピン商工会議所のペリー・フェラー氏
タイ商工会議所のワォラタット・タンティモンコンスック氏

供給網、人材育成、事業スピード——活発な意見交換

続く討議では、インドネシア商工会議所(KADIN)のハンス・ルキマン氏が労働者の技能を自国産業へ還元する仕組みづくりを、ベトナム商工会議所(VCCI)のグエン・ヴー・キエン氏がサプライチェーンの追跡体制整備を提言。ASEAN BACブルネイ代表のムーサ・アッドニン氏は、自国のデータセンター入札に日本企業が参加していない実例を挙げ、「日本は優れた技術を持ちながら、事業展開のスピードで欧米や中国に後れを取っている」と率直な課題を投げかけた。経済産業省の羽田由美子氏はこれらの提言に謝意を示し、各国商工会議所との連携強化を約束した。

インドネシア商工会議所のハンス・ルキマン氏
ベトナム商工会議所のグエン・ヴー・キエン氏
ASEAN BACブルネイ代表のムーサ・アッドニン氏

5つの重点分野で「共同宣言」を採択

こうした対話の集大成として、会議の最後に「DISGタスクフォース共同宣言」が採択された。柱となるのは、①強靭なサプライチェーンの構築、②経済安全保障分野における協力、③エネルギー転換・次世代エネルギー分野における協力、④イノベーション・産業高度化の推進、⑤次世代人材育成・地域社会への貢献の5分野だ。半導体やAI・デジタル基盤といった戦略分野での連携、バイオ燃料やSMR(小型モジュール炉)など次世代エネルギーの技術協力、そして次世代リーダーの交流促進まで、官民が一体となって取り組む方向性が示された。

「共同宣言」採択後のフォトセッション

日本とASEANが直面する構造変化への指針として、オンラインでの対話を重ねてきたDISGが初めて対面での会合を行った本会議は、「対話」を「行動」へ、「構想」を「実装」へと移す新たな一歩となった。

タイに拠点を置く日系企業にとっても、サプライチェーンの再編やAI・デジタル投資、エネルギー転換の行方はまさに自分たちの課題といえる。DISGが掲げる5つの重点分野が、今後どのようにビジネスの現場に関わっていくのか。日ASEANの次の成長ステージに向け、官民連携によるプロジェクト創出の動きに目が離せない。

THAIBIZ編集部
杉浦亜希子

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