首都の屋台、路上から施設へ 都庁が管理強化、違法営業8割減

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首都の屋台、路上から施設へ 都庁が管理強化、違法営業8割減

公開日 2026.09.11

NNA掲載:2026年8月17日

タイの首都バンコクのルンピニ公園沿いに開設された屋台街が、路上屋台の新たな受け皿として動き始めた。歩道環境の改善と低所得者の生計確保の両立を目指すバンコク首都庁(BMA)が、管理強化策の一環として整備した。違法屋台が集まる区域は4年間で約8割減少した一方、無許可営業は依然として多数残る。観光資源でもある路上屋台を巡り、制度化をどこまで進められるかが焦点となりそうだ。

バンコク首都庁が開設したルンピニ公園沿いの屋台街。昼時には多くの利用客でにぎわう=13日、バンコク(NNA撮影)

平日の昼時、ルンピニ公園沿いの屋台街には飲食店が軒を連ね、会社員や周辺住民をはじめ、多くの利用客でにぎわっていた。飲食スペースでは席の大半が埋まり、料理を求めて行き交う人の姿が目立った。

「これまで路上以外で出店したことはなかった」。NNAに対し、店先に立つティラポーンさん(46)が打ち明けた。約20年間にわたり飲料や軽食を販売してきたが、BMAによる路上屋台の管理強化を受け、ラチャダムリ通りから移転してきた。

同氏によると、民間の営業スペースは賃料負担が重く、営業場所の確保は容易ではない。「都心でスペースを借りれば1カ月当たり4,000~5,000バーツ(約1万9,000~2万4,000円)、場所によっては1万バーツもかかる」という。

こうした零細事業者の負担を抑えるため、BMAは新設した屋台街の賃料を1区画当たり日額60バーツに設定した。約2メートル四方の区画約130店分を整備したほか、給水・排水設備や飲食スペースを設けることで衛生環境を改善し、屋台を適切に管理できる環境を整えた。

公設屋台街に設置された共同利用の洗い場。食器などの洗浄に使われている=13日、バンコク(NNA撮影)

こうした環境は利用者にも好評だ。屋台街を訪れていた日本人観光客の女性2人組は「路上の屋台よりも清潔感があり、観光客にとって利用のハードルは低いのではないか」とコメントした。

BMAは、同施設を営業環境の改善と歩道空間の確保の両立を図るモデルケースとして位置付ける。現在はソフトオープンの段階で、年内に本格開業する予定。今後は、エカマイやバンスーなど、既存の屋台が多く受け入れ可能な空間を持つ地域で同様の屋台街を整備し、路上屋台の受け皿を拡大する方針だ。

路上屋台、ルールの下で営業容認

BMAは従来、路上の指定区域で屋台の営業を認める制度も運用している。BMAの担当者はNNAの取材に対し、「路上での営業は違法」とした上で、「現在バンコクには約50~60カ所(最終承認待ちを含む)の営業許可区域があり、管理下にある屋台は約3,000~4,000店に上る」と説明した。

シーロム地区の営業許可区域であるコンベント通りに出店する路上屋台。店の奥には客用の飲食スペースが設けられている=13日、バンコク(NNA撮影)

4年前には違法営業の屋台が立ち並ぶ区域が約700カ所あったが、現在は約150カ所まで縮小した。違法屋台も約6,000店まで減少したという。

指定区域で営業するにはBMAへの登録が必要となる。年収30万バーツ以下との所得要件を設けるほか、既存屋台を優先して受け入れている。同担当者は「あくまでも低所得者向けの生計支援の制度であり、事業規模が拡大した事業者には店舗を借りるなどして、中小企業へと成長してもらうことを目指している」と強調した。

公設屋台街は満員、現場から拡充望む声

シーロム地区の営業許可区域で路上屋台を営むタイ人女性(41)は、「毎年500バーツの登録料を支払い、食品衛生講習などを受ける必要があるが、営業場所の使用料はかからない」と制度を評価する。一方で、食材や包装資材の価格上昇により利益率は圧迫され、1カ月当たり手元に残る収入は1万~2万バーツ程度にとどまる。

同氏はまた、「路上屋台の営業で一番困るのは雨だ」と苦笑する。屋根があるルンピニ公園沿いの屋台街への移転を希望したものの、既に満員で入れなかったという。「このような制度が増えれば、屋台を合法的に営業できる場所が増える」と、公設屋台街の拡充に期待を寄せた。

路上屋台のテーブルが並ぶ歩道を行き交う人々=13日、バンコク(NNA撮影)

30年超続く屋台整理、管理強化続く

BMA法執行局のウォラチョン副局長によると、バンコクでは1992年に公共空間での営業を原則禁止して以降、路上屋台の整理を進めてきた。ただ、規制への姿勢は歴代都知事によって濃淡があり、30年以上を経ても整理は途上にある。

近年は新規出店の抑制に加え、違反事業者への警告や2,000バーツ以下の罰金を科すなど指導も強化した。

ウォラチョン氏は「管理強化の目的は、歩行環境や衛生面の改善だけではない。屋台営業を税制など公的な制度の枠組みに取り込むことも狙いだ」と話す。現在もスクンビットやパヤタイなどで営業許可区域の承認手続きを進めており、年内にも完了する見通し。

観光資源であり人々の日常の食生活も支える路上屋台の管理強化について、「市民の意見も分かれており、バランスを取る必要がある」と話す法執行局のウォラチョン副局長=5月19日、バンコク(NNA撮影)

一方、外国人観光客に人気のヤワラートでは、地域経済への影響を踏まえ、警察と連携して道路の一部を閉鎖し営業を認める特例措置を講じている。同氏は「屋台はタイの魅力の一つだが、適切な管理がなければ衛生面や通行環境に悪影響を及ぼす恐れがある」と指摘し、観光資源としての魅力と都市管理のバランスを重視する考えを示した。

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