公開日 2023.03.21
TJRI(タイ日投資リサーチ)では2月24日、タイ企業のニーズを日本企業向けに発信する説明会『Open Innovation Talk』の第15回として、タイ証券取引所(SET)上場の化学品販売会社UACグローバルに登壇していただいた。同社のチャチャポン最高経営責任者(CEO)とジョンラック副CEOが事業の概要、将来展開、持続可能なクリーンエネルギー事業のパートナー募集などについて語った。今回はオンラインとオフラインで開催され、オフライン会場ではUAC幹部を含む参加者間の交流も行われた。
目次
当社は1995年に化学品の輸入・販売事業からスタートし、現在では天然ガスの探査・生産、石油精製、石油化学、ポリマーおよびプラスチック、化学品、発電所などの幅広い事業を行っている。
また、循環型経済と環境に配慮し、社会的責任を果たすグローバル企業を目指している。近年は、代替・再生可能エネルギー分野の事業を拡大しており、クリーンエネルギーの開発や二酸化炭素(CO2)の回収・貯留(CCS)や回収・再利用・貯留(CCUS)技術、グリーン水素のバリューチェーン構築、タイでの電気自動車(EV)充電ステーションの構築なども展開をしている。
主な事業は以下の4つだ。
(1)商社事業
エネルギーなどさまざまな分野の産業向けに化学品の輸入・販売
(2)エネルギー事業
ソーラーパネルの設計と設置、チェンマイにあるネピアグラス(熱帯や亜熱帯で生育する草丈の高いイネ科の多年草)やトウモロコシを原料としたバイオガス発電、天然ガス発電、バイオディーゼル生産
(3)化学品事業
ナコンラチャシマで接着剤を製造
(4)石油事業
スコータイの油田で石油精製
ラオスの首都ビエンチャン周辺で40年の廃棄物処理権利を取得し、サイアム・セメント・グループ(SCG)に提供するごみ固形燃料(RDF)生産工場を建設中で、今年の第2四半期に稼働する予定だ。また、タイ変圧器メーカーのQTCエネルギーと合弁会社PPWEを設立し、EV充電ステーションの新規事業を展開している。さらに、エネルギー省のコミュニティー発電所プロジェクト(Energy for All)に参加するコンケンのバイオガス発電所は今年の6月までには稼働する予定だ。
UACは再生可能なクリーンエネルギーの方向へ進みたいと考えており、バイオガス発電、ソーラーパネルなど再生可能なクリーンエネルギープロジェクトを展開していく。また、電気自動車(EV)のバリューチェーン事業では、充電ステーション、物流コストを削減するためのEVトラックの導入ではパートナー方式で新規の事業展開を考えている。さらに、学校、商業施設、産業廃棄物からの有機廃棄物でバイオガス発電の実証実験を行う。現在、ラオスでごみ固形燃料(RDF)生産をしているが、インドネシアやカンボジアにも同様な事業での実現可能性調査をしている。
BCG経済モデルに貢献できる事業を展開していきたいと考えている。これは世界の脱炭素・低炭素社会の流れに沿ってこれから需要が高まる見通しであり、当社もこのトレンドに合わせて事業展開していく。
(1)ネピアグラスの高付加価値化、輸出用の土壌改良材(SIS)の開発パートナー
ネピアグラスを原料とするバイオガス発電の残渣は、土壌改良材や他の高付加価製品に開発し、例えば無農薬有機野菜の栽培や花の植え付けに利用できる。
– ネピアグラス残渣の高付加価値製品の開発パートナー
– ネピアグラス残渣を活用した土壌改良材の開発・輸出パートナー
(2)油田の二酸化炭素(CO2)の回収・貯留(CCS)と回収・再利用・貯留(CCUS)の技術パートナー
– タイのスコータイ県内のアルノータイとブラパーに位置するL10/43鉱区とL11/43鉱区の油田でのCCSまたはCCUSの技術パートナー
– CCUS、または水素エネルギーや低炭素水素ガスを製造できるパートナー
(3)有機廃棄物によるバイオガス発電への投資パートナー
(4)データ管理 とマネジメント分野のパートナー
IoTは大きなテーマになっているため、エネルギー関連のものだけでなく、データ管理でエネルギー消費を削減できるプラットフォーム
– 建物の管理で発生する経費の削減、データの分析・活用を目的として、データ管理ができるデジタルプラットフォームの構築を目指している。当社グループ企業の工場内のエネルギー消費量や電力、モーターの品質、可変速制御システム(VSD)、水質や水冷システム、空気質、ソーラーシステム等を管理できるシステムを構築できるパートナー
(5)グリーン水素のバリューチェーン構築に向けたパートナー
グリーン水素は世界の脱炭素・低炭素の目標を達成するために必要だと考えている。現在、タイではまだ実現可能性調査の段階だが、将来的には大きいなビジネスチャンスになる。
– 水素エネルギー技術
– ノウハウを共有できるパートナー、または水素産業、特にグリーン水素の産業を伸ばしていくため、製造・活用・輸送を含め、一緒に研究・開発を行うパートナー
(6)タイでEV充電ステーションの共同開発と投資が可能なパートナー
TJRI編集部
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