カテゴリー: バイオ・BCG・農業, イベント
公開日 2022.12.14
TJRI(タイ日投資リサーチ)では11月30日、タイ企業のニーズを日本企業向けに発信するオンライン説明会『Open Innovation Talk』の第13回として、タイ小売り大手セントラル・グループ傘下の不動産開発大手セントラル・パタナ(CPN)に登壇していただいた。同社のエネルギー・環境マネジメント部門長のSurasak Osotthanakorn(スラサック・オソットタナコン)氏が事業概要、環境経営戦略、日本企業との協業の可能性などについて語った。
目次
CPNは創業42年で、大型商業施設(ショッピングセンター)のほか、住宅、オフィスビル、ホテルなど複合的な不動産事業を展開している。運営理念は商業施設で物を売るだけでなく、お客様に良い体験をしていただくことを徹底的に追及している。ショッピングセンターは当社の中心的事業で、現在38か所(バンコク首都圏15カ所、地方22カ所、マレーシア1カ所)にあり、合計の利用者数は1日当たり100万人以上だ。また、オフィスビル10カ所、ホテル2カ所、住宅プロジェクト22カ所、コミュニティモール17カ所などの施設を運営している。
CPNは「Because there is no planet B(地球の代替となる惑星はない)」を命題とし、2050年を目標年次としたESG(環境、社会、企業統治)の取り組みを実行している。当社の中心事業はエネルギー消費量が非常に多い商業施設開発・運営だ。このため、ESGの「E(環境)」では、タイのプラユット首相が国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)で発表した2050年までに二酸化炭素排出を実質ゼロ(ネットゼロ)にするとの目標を実現するために、当社は環境面で5つの課題を設定した。
(1)2019年をベースに温室効果ガス(GHG)を50%削減する
(2)再生可能エネルギーの比率を50%以上にする。現在は5%も満たないため、伸ばす余地は大きい
(3)新たに建築する施設すべては「グリーンビル」認証を取得する
(4)埋め立てゴミをゼロにし、商業施設で一番多い食品廃棄物もゼロにする
(5)排出された二酸化炭素を吸収するため、100万本の木を植える
ESGの「S(社会)」では人々の格差是正と豊かさの実現が中心テーマで、4つの目標を設定した。
(1)CPNの商流に関わるすべての人の人権を尊重する
(2)住民のための公共スペースを提供する
(3)売上高の10%相当の収入をコミュニティーに還元する
(4)地域からの調達を全体の50%とし、商業施設が立地する各県・地域の特色をアピールする。例えばショッピングセンターの壁に各県・地域の特徴や名品などをデザインする。
さらに、「G(企業統治)」では、ESG経営戦略を強調しており、持続可能な企業経営の指標である「Dow Jones Sustainability Indices (DJSI)」に9年連続で選定されている。
CPNは、2050年までに建物の建設から運営・管理までの全工程で、ネットゼロの企業になるという非常にチャレンジングな目標を設定している。このため、サステナブルなイノベーションを持ち、一緒に目標を達成するパートナーを必要としている。CPNが運営・管理する38カ所のショッピングセンターなどの利用可能なアセットを対象に、以下の3つの分野でパートナーを求めている。
(1)グリーンビルディングの技術パートナー
CPNは2030年までに、温室効果ガス(GHG)を50%削減し、グリーンビルディング認証を取得した施設を20%以上とすることを目標にさまざまな技術を求めている。
・グリーンビルディング基準を満たすための技術=電気自動車充電ステーション施設、環境に優しい建材の選択、エネルギー利用削減、建物内の環境を改善、水の使用量の削減、温室効果ガス排出削減などの技術
・既存のショッピングセンターやオフィスビルをグリーンビルディングにリノベーションする技術と設備
(2)エネルギー効率化の技術パートナー
「省エネ技術」または「エネルギー効率化の技術」を求めている。
・断熱効果の高い素材
・より効率的なHVAC(暖房、換気、空調)システム
・AI(人工知能)などのエネルギー消費管理
・代替エネルギー技術
(3)上水および廃水管理の技術パートナー
・節水型トイレ、節水型センサーなどの水使用量を削減する技術
・水を最大限に活用する技術
・水のリサイクルを含む廃水管理、費用対効果が高い技術
TJRI編集部
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