THAIBIZの刊行に寄せて

カテゴリー： ビジネス・経済

連載： BizWings - 中小企業経営論

公開日 2024.04.10

今月号から新媒体としてのTHAIBIZが刊行になったことを受け、本コラムも従前の「現場発経営論」から「中小企業経営論」に名称を変えることになりました。本コラムは旧媒体としてのArayZ誌に寄稿を開始したのが2020年１月号からになりますので、なんだかんだ丸４年続いてきたことになります。今までは本コラムは実際にクライアントの方から寄せられた質問をベースにしたQ&A形式で書いてきましたが、掲載媒体もコラム名も刷新されましたし、今後はこのコラムについて、そもそも私が思うところなどを書いてみたいと思います。

本コラムの目的は「私が日々経営をしている中で感じているモヤモヤを書く」ことにあります。私は世の経営に関する文章は、基本的にスッキリ明快であると思っています。

例えば、経営学の本を読めば、なんだかすごいコンサルタントや学者の先生が編み出したというフレームワークやら経営理論が次から次へと出てきて、これに従えば簡単に経営なんてできそうな気にさせてくれます。また経営に関するノウハウ本や、ビジネスで成功したという人が書いた本は「こうすれば成功できる」といった、これまた明快な結論を導いているものも少なくありません。

一方、私が実際に会社経営をするにあたっては、物事が明快になることは少なく、モヤモヤしてばかりだ、というのが実感なのです。

リーダーシップ論が示すリーダー像は僕にはキラキラし過ぎているように感じてモヤモヤし、新しい知識の探索と、今知っていることを深める両方を行うのが必要だ、というのも見ると、わかってはいるにその時間が割けない自分にまたモヤモヤし、企業戦略も内部統制も大事なのは知っているけど、でも今日が期日の請求書の支払いもしなきゃいけないしとなってまたモヤモヤします。

ただ、私が自分の言葉としてリアルに書くことができるのは、そういったモヤモヤなだけのような気もするのです。それに先述の通り、世の中にはスッキリ明快な経営に関する文章もすでにたくさんあるわけですから、逆に実際に中小企業の経営にバタバタしている私のような人間がそのモヤモヤしたままの内容を書くことで、これを読んだ中小企業経営をされている方の一服の清涼剤（あるいは溜飲を下げる材料）になるのではないか、そしてさらに言えば、経営の醍醐味や難しさや経営者の存在意義は、そこのモヤモヤの中で意思決定をしていくことなのだから、実際に経営している人間のモヤモヤを書くことにも意義があるのではと思っています。

そんなこんなでこのコラム、引き続き今後も続けていきますので、皆様ご愛読の程を。