インドネシアのEV最新状況(2022年)

ArayZ No.127 2022年7月発行

ArayZ No.127 2022年7月発行進む多様化とEC「タイ食品産業2022」動き出す飲食店、始まる輸出支援

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インドネシアのEV最新状況(2022年)

公開日 2022.07.10

インドネシア政府は、ASEANにおけるEVのハブを目指して、二輪・四輪の電動化計画を推進している。2019年8月にはバッテリーEV(以下BEV)の開発促進に関する大統領令(No.15/2019)を発令し、BEVの普及と国産化を推進していく方針を明らかにした。また、35年までに二輪車では325万台(同約30%)四輪車では100万台(全生産台数の約30%)のBEV生産目標を打ち出している。

四輪EVの普及状況

昨年の実績では、四輪EV市場は700台ほどとタイと比べて3分の1程度の水準だった。今年から韓国・現代自動車のインドネシア子会社が現地初の国産EVモデル「Ioniq 5」の生産を開始しているが、販売価格は7億~8億ルピア(770万円~880万円)。インドネシアで人気の高い小型ガソリン車の価格2~3億ルピアと比べると割高であり、一般ユーザーへの本格普及がまだ難しいことから、電気自動車メーカーは、公用車やグラブといった配送業者と提携するなど、B to BないしB to Gを中心に普及を進めると予想される。同社は、政府が自動車メーカー各社に強く要請しているEVの国産化に最も積極的に協力しており、インドネシアでバッテリーの生産を計画しているLG化学傘下のLGエナジー・ソリューション(LGES)から購入する算段である。

中国系の上汽通用五菱汽車は、中国で47万円の格安電気自動車を販売していることで注目されているが、インドネシアでもすでに予約受付を開始している。インドネシア市場向けには航続距離など仕様を見直す予定であり、中国での販売価格よりは高くなる見通しであるが、それでもその圧倒的な価格競争力で市場に大きなインパクトをもたらすことが予想される。

一方で、22年2月時点の充電ステーションは全国で267ヵ所と、タイと比べてもその半数に満たない。現在は電力公社PLNを中心にその整備を進めており、年内に580台まで増やすという。しかしながら、ボトルネックになると考えられるのが電力供給である。一般家庭での契約電気容量は少なく、EVを自宅で充電する環境が十分でないケースが多い。本格普及までには、まだ時間がかかりそうである。

二輪車EV市場

二輪車市場においてインドネシアはASEAN第1位であり、将来的な普及を見越して電動二輪事業・関連サービスの動きが活発化している。二輪の方が四輪よりEVが進展しやすい環境にあるのは、電動二輪のバッテリー容量は四輪の10分の1以下で重量が軽く、バッテリースワップが普及しやすい点にある。同国内で8割以上と圧倒的な二輪車シェアをもつホンダは18年8月から21年2月にわたり、経済産業省傘下の新エネルギー機構(NEDO)の支援のもとで二輪バッテリースワップの実証実験を行っており、近いうちに商業化まで進むことが予想される。ローカル系の動きはもっと早く、電動二輪車の生産・販売及びバッテリースワップサービスに相次いで参入を図っている。

例えば22年3月には大手配車アプリGrab、電力公社PLN、電動二輪車メーカーSMOOT、スワップバッテリーサービスSWAPが電動化のエコシステム構築の提携を発表している。この他、配送大手のGoto(旧Gojek)も台湾のスワップバッテリーGogoroとの提携を発表した。

以上のようにインドネシアでは、四輪では韓国勢と中国勢、二輪ではローカル系が先行する形で電動車を生産・販売し、エコシステムを構築しようとしている。日系は二輪、四輪ともに9割以上のシェアを持つが、今後急速に進むゲームチェンジの動きに備える必要がありそうだ。


ジャカルタ都心のコンビニに設置された二輪バッテリー スワップ(筆者撮影)
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NRI Consulting & Solutions (Thailand)Co., Ltd.
Principal

山本 肇 氏

シンクタンクの研究員として従事した後、2004年からチュラロンコン大学サシン経営大学院(MBA)に留学。CSM Automotiveバンコクオフィスのダイレクターを経て、2013年から現職。

野村総合研究所タイ

ASEANに関する市場調査・戦略立案に始まり、実行支援までを一気通貫でサポート(製造業だけでなく、エネルギー・不動産・ヘルスケア・消費財等の幅広い産業に対応)

《業務内容》
経営・事業戦略コンサルティング、市場・規制調査、情報システム(IT)コンサルティング、産業向けITシステム(ソフトウェアパッケージ)の販売・運用、金融・証券ソリューション

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