ArayZ No.73 2018年1月発行タイの労務 -就業規則から解雇まで-
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カテゴリー: ビジネス・経済
公開日 2018.01.19
目次
► 現在、タイは高度な経済基盤の確立と、さらなる経済発展を目指した政策を推進しています。タイが長期的に目指すべき経済社会のビジョンとして「タイランド4・0」が示され、その重要な施策の一つとして、「東部経済回廊(Eastern Economic Corridor:EEC)」開発計画が打ち出されています。
► EECへの投資誘致では、今年1~9月の投資奨励申請額は1041億6400万バーツで、うち678億バーツがターゲット産業となっています。EEC投資向けの税優遇期間は当初、今年末が期限とされていましたが、タイ投資委員会(BOI)は前月の会合で2019年12月30日まで延長しました。
► また、EECに設ける特別振興区を事業地とする投資プロジェクトに対し、法人所得税の免税期間を現行の最長8年から10 年に延長することも決定しました。さらに、免税期間後に50%減税期間を5年間付与することも決定しました。
► 2017年10月のタイ経済は引き続き拡大しました。物品輸出と観光業の成長が牽引しています。しかし、民間の投資や消費の伸びは低迷しました。農業所得は収縮し、工業生産は横ばいでした。
► 2017年10月の消費者物価の上昇率は、前年同月比0・99%上昇し、5ヵ月連続で上昇しました。原油価格の上昇と酒・たばこの物品税制改正で、前月から伸びが加速しました。一方で、振れ幅の大きい生鮮食品とエネルギーを除くコア・インフレ率は、同0・61%の上昇で、前月から伸びが横ばいでした。
タイ中央銀行が発表した2017年10月の重要な経済指標によると、タイ経済は拡大基調が持続しています。物品輸出と観光業の成長が牽引しています。しかし、民間の投資や消費の伸びは低迷しました。農業所得は収縮し、工業生産は横ばいでした。
10月の民間消費は前年同月比1・4%上昇し、前月の同2・8%増を下回りました。購買力の低迷により非耐久消費財と半耐久消費財の指数が先月から下落しました。農産物の価格と生産量がそれぞれ低迷したことで、農家収入は減少しました。
一方で、民間投資は前年同月比1・3%上昇し、4ヵ月連続でプラス成長となりました。通信やエネルギーなどの業界で機械・設備投資の改善が見られた一方、洪水の影響で建材販売は同7・1%減少しました。建設許可面積はサービス業と運輸業で伸びましたが、建材の販売数量は減少しました。
10月の輸出は、前年同月比13・4%上昇し、3ヵ月連続で2桁成長となりました。全ての主要市場向けのほぼ全ての商品分野で増え続けています。自動車・部品では、商用車と乗用車の輸出が増えたほか、自動車部品でもタイヤ、ギアボックス、エンジンの輸出が伸びました。
電子・映像機器は、ハードディスク駆動装置、スマートフォン、集積回路の輸出が伸びました。原油相場に連動する製品の輸出額は輸出価格、輸出数量ともに増えました。
工業生産に関しては、前年同月比0・1%減少しました。通常よりも休日が多かったことと、一部工業でのこれより前の生産加速の反動減が理由でした。いずれにしても輸出関連の多くの工業の生産は順調に伸びています。
観光業では、外国人観光客数が前年同月比20・9%増の270万人となりました。ほぼすべての国からの観光客が増えました。また、違法ツアーの取り締まりがあった前年の数値が低くなっていたローベース効果も一因となっています。
商務省が発表した20172017年11月のヘッドライン・インフレ率は、前年同月比0・99%上昇し、5ヵ月連続で上昇しました。原油価格の上昇と酒・たばこの物品税制改正で、前月から伸びが加速しました。
品目別にみると、非食品部門が前年同月比1・55%上昇しました。原油価格の上昇に伴い、運輸・通信のうち燃料石油が同8・4%上昇しました。
それに加え、9月の物品税制改正の影響を受け、たばこ・酒が5・8%上昇しました。一方で、食品・飲料部門はほぼ前年同月並みでした。総菜類と外食がそれぞれ同1・2%、1・0%上昇した以外は、マイナスが多かったです。
一方で、振れ幅の大きい生鮮食品とエネルギーを除くコア・インフレ率は、前年同月比0・61%の上昇で、前月から伸びが横ばいでした。
米連邦準備制度理事会(FRB)は12月12日~13日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で今年3回目の利上げを実施しましたが、来年に米利上げペースが加速するとの観測が後退しました。米利上げ加速を警戒してドルの買い持ち高を増やしていた投資家から持ち高を解消する目的のドル売りが出て、12月下旬にも円に対するドル売りの動きが予想されます。
現在、タイは高度な経済基盤の確立と、さらなる経済発展を目指した政策を推進しています。2015年には、タイが長期的に目指すべき経済社会のビジョンとして「タイランド4・0」が示され、その重要な施策の一つとして、「東部経済回廊(Eastern Economic Corridor:EEC)」開発計画が打ち出されています。チョンブリ、チャチュンサオ、ラヨンの東部3県をカバーする広域特別経済区を形成し、タイの中長期的な経済成長戦略である「タイランド4・0」の中核を成すものです。
EEC開発計画では、官民合わせて総額1・5兆バーツの投資規模が見込まれており、空港や高速鉄道の整備に加え、次世代自動車産業やデジタル技術産業などといった10のターゲット産業の誘致・育成などを図る方針です。EEC開発は、雇用を創出し、国内経済を支援する新しいビジネス分野となる物流、倉庫ソリューションサービスの需要を創出することも期待されています。
EECへの投資誘致では、今年1~9月の投資奨励申請額は1041億6400万バーツで、うち678億バーツがターゲット産業となっています。EEC投資向けの税優遇期間は当初、今年末が期限とされていましたが、タイ投資委員会(BOI)は前月の会合で2019年12月30日まで延長しました。
この状況の中、タイのビジネス・セクターの大半が、インターネットを通じて、顧客とのやり取りや、マーケティング活動を行なっています。とりわけ、中大規模の企業は、ビジネスの競争力を強化する目的で、情報通信技術への投資を継続しています。
また、EECに設ける特別振興区を事業地とする投資プロジェクトに対し、法人所得税の免税期間を現行の最長8年から10年に延長することも決定しました。さらに、免税期間後に50%減税期間を5年間付与することも決定しました。特別振興区は、ウタパオ・エアロポリリス、EECイノベーション区域(EECi)、デジタル・パーク・タイランド(EECd)の3ヵ所が対象となります。一方で、その他のEECエリア内の一般工業団地または工業区に投資する場合は、免税期間終了後に50%減税期間を3年間付与することになります。
タイ政府は2017年内にもEEC法を成立させ、投資誘致につなげたい考えです。
タイで初めて法令化される長期開発計画で、政権が変わっても開発が停滞しないようにするためです。EEC法では、東部3県(チョンブリ、チャチュンサオ、ラヨン)をEECと定め、投資する企業に対し、土地の賃貸期間の延長や金融取引の緩和、税優遇などを講じます。EECの対象地域は、勅令によって広げることが可能です。
それに加え、タイ政府は、人材育成や研究開発などに対するタイ特定産業競争力強化基金の設立、利便性向上のためのワンストップサービスの設置、入札の開始から建設プロジェクトの承認までの手続きを高速化するファストトラック制度のような税制面以外の奨励策も整備しています。
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THAIBIZ編集部
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