
公開日 2026.05.11 Sponsored
在タイ日系企業が抱える組織課題は多岐にわたり、かつ複雑に絡み合っている。「人が育たないからマネジャー研修をやろう」「評価制度が機能していないから新しい制度を導入しよう」「優秀な人材が見つからないから採用媒体を変えよう」といったように多くの企業が、目の前の事象に対して個別のアプローチを試みる。
しかし、「最大のボトルネックは、表層課題だけを見て、その深層にある原因をつかめていないこと、つまり今自社の組織で何が起きているのかを把握できていないことだ」と田中氏は指摘する(図表2)。

同氏は、この状況を身体の不調に例えて、「足が痛い(=離職が多い)からと言って、湿布を貼る(=採用強化)ばかりしていても、実際に全身を調べてみると本当の原因は血管の詰まり(=上司のマネジメント力不足)だった、というような見当違いの改善策に走っているケースも少なくない」と説明する。
また、精緻な人事制度を新たに設計しても、評価者が「低い点数をつけるのは可哀想」と全員に平均値のB評価をつけてしまう組織風土が変わらなければ、どれほど立派な制度でも全く機能しない。信号機(=制度)を作っても、赤信号で止まるという慣習(=風土)がなければ事故は減らないのと同じだ。
「採用・育成・制度・風土、これらはすべてパズルのように連携しており、どれか一つだけを切り取って改善しようとしても、組織という『箱』は良くならない。優先順位を間違えた思いつきの変革は、現場を疲弊させ、さらなる諦めを生むだけだ」と同氏は語る。
では、迷路に陥った組織変革において、最初に手をつけるべきことは何か。田中氏の答えは明快だ。「やみくもな制度変更や研修ではなく、まずは網羅的な組織の健康診断を行い、課題を可視化することだ」。
重要なのは、感覚ではなくデータで真実を知ることだ。「自分の部署はうまくいっている」「うちの会社はアットホームで社員の仲が良い」といった経営陣の感覚は、往々にして現場の真実と乖離している場合も少なくない。実際に診断を行ってみると、上司への満足度が5段階評価で1.3という崩壊寸前の深刻な数字を突きつけられ、経営者がショックを受けるケースもあったという。
また、タイ特有の文化的背景も見逃せない。「本音を言わない」「直接的な対立を避ける」という傾向が強くあり、さらに階級社会の名残で「日本人は偉いから意見を言ってはいけない」という意識が根深く残っている。
赴任1年目の若手の日本人駐在員に対しても、タイ人スタッフは遠慮して本音を語らないことが多い。「だからこそ、匿名性を担保した組織診断(エンゲージメントサーベイ)を全員に実施し、現状の課題を可視化することが極めて有効なのだ」と田中氏は訴える。
そして、最も重要なのは「合意形成」だ。日本人経営者の思いつきで「ここが課題だ」と決めつけるのではなく、「全員にアンケートを取った結果、データでAが最大の弱みと示された。だからAから改善する」というプロセスを踏むことだ。「このように全員の声を聞いたという事実があって初めて、タイ人スタッフも納得感を持って変革に向き合うことができる」と同氏は説明する。
組織課題の可視化と優先順位の整理を支える強力なツールが、リンクアンドモチベーションが提供する組織改善クラウドサービス「モチベーションクラウド」のエンゲージメントサーベイだ。日本国内の従業員エンゲージメント市場で9年連続トップシェアを誇る。
従業員エンゲージメントとは、「企業と従業員の相互理解・相思相愛の度合い」を指す。給与や福利厚生といった「従業員満足度」とは異なり、従業員が会社に対して貢献意欲を持って働いているかを測る概念である。
同サーベイでは、人が組織に帰属する要因を社会心理学に基づき16領域(エンゲージメントファクター)に分類。会社に対して「何をどの程度期待しているのか(期待度)」と「何にどの程度満足しているのか(満足度)」の2軸で全従業員に調査を行う。結果は縦軸=期待度・横軸=満足度の4象限マトリクスマップに可視化され、各ファクターがどの象限に出現するかによって、自社の「強み」「弱み」「過剰対応」「無関心」が一目で把握できる(図表3)。


THAIBIZ編集部
岡部真由美


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