公開日 2025.01.08
TJRIでは昨年10月9日、タイ企業のニーズを日本企業向けに発信するオンライン説明会「Open Innovation Talk」の第30回として、タイ国内外の大手企業に2,000以上のプロトタイプを提供した実績を持つ、スマートエレクトロニクス企業シナジー・グループのニティ・メークモーク最高経営責任者(CEO)に登壇いただき、同社の事業概要や、公共機関や大学とのパートナーシップの構築について話を聞いた。
目次
ニティ氏:シナジー・グループは、スマートエレクトロニクスソリューションを提供する「SYNTECH」と、プライベート・デジテック・インキュベーター(スタートアップをサポートするもの)である「SYNHUB」の事業を運営している。
ニティ氏:SYNTECHは2008年にスマートエレクトロニクスソリューションプロバイダーとして設立され、スマートエレクトロニクスとスマートソリューションを開発している。当社のコア技術には、AIや埋め込み設計、IoT、医療、プラットフォーム、ESGが挙げられる。また顧客は現在、タイ国内外の公共部門や製造業、不動産など業界は多岐にわたるが、主に自動車関連だ。
SYNTECHの事業部門は、次の2つに分かれている。
(1)ワンストップテックサービス:電子製品の設計から、プロトタイプの開発、大量生産まで一気通貫で提供
(2)スマートソリューション:ソフトウェアとハードウェアの開発・設置。スマートビルディング、環境、ファーム、工場—の4つの分野に注力している
ニティ氏: 当社の具体的なサービスは次の通りだ。
(1)プロトタイプの研究開発:開発チームは、ハードウェアとソフトウェア、エレクトロニクス、PCB設計など、幅広く対応している。ESGや自動車などさまざまな分野での実績がある
(2)大量生産:大量生産をするパートナー企業(工場)を持っており、各段階での生産管理はSYNTECHが行なっている
(3)スマートソリューション
・スマートビルディング:AIシステムを採用した建物全体のエアコン管理のプラットフォーム。各階のデータを収集し、データを送信することで、エアコンを自動的に調整する。二酸化炭素排出量も測定できる
・スマートファーム:IoTシステムと温度、水、日照センサーを設置し、温室システムの開閉を自動的にコントロールできる
・スマート環境:カンペーンペット県の水管理を支援するシステムを開発した。このシステムでは水位を測定し、タブレットやノートパソコンで水門を自動的に管理できる
ニティ氏:当社は機械関連やプリント基板のサプライヤー、公共機関、大学などさまざまな企業・団体と連携し、エコシステムを構築することに取り組んでいる。
また、工業省や商業省、デジタル経済振興庁(DEPA)といった政府機関とも連携している。これらの政府機関はさまざまな支援を提供している。例えば、スマート・シティ・ソリューションや商品、サービスの開発に対する資金提供だ。外資系企業とも協力し、実証実験をすることもある。さらに、政府機関が主催する展示会に出展することもある。
一方、大学との連携に関しては、カリキュラムの改善の提案やインターンシップの受け入れ、さらに研究成果の商業化にも取り組んでいる。
ニティ氏:SYNHUBは2016年に創設され、スタートアップや中小企業をサポートするインキュベーターだ。具体的なサービスは、①コンサルティング、②投資家の紹介、③海外でのピッチ、④国内展示会出展だ。
われわれは国内外の大学や研究機関と連携している。創設以来、タイ政府機関の委託事業で中小企業を支援する12以上のプロジェクトに携わっている。また、国家高等教育・科学・研究・イノベーション政策評議会事務局の監督下にある競争力向上事業管理ユニット(PMUC)からの予算を受け、売上1億バーツの中小企業が10億バーツまで拡大するための支援をする役割も担っている。また、タイの起業家の育成に役立つノウハウを持つ海外の起業家とつながるための予算も提供している。
事業説明の後は、視聴者とのQ&Aセッションが行われ、多数の質問が寄せられた。今回はその一部を紹介する。
技術は急速に変化しその数も多いので、すべての分野を人材でカバーすることは難しい。そのため、同じビジョンを共有し、お互いにメリットがあり、サポートし合えるパートナーが必要となる。また、大学と連携することで、若い人たちを育成し、優秀な人材を獲得する機会を得ることができる。
タイには発展させることができる産業がたくさんある。例えば、バイオテクノロジーだ。タイには多くの植物があり、新しい商品開発につながる可能性がある。これは日本側との協力のチャンスだ。また教育分野では、日本の人材育成で労働者不足問題も解決できるだろう。
THAIBIZ編集部
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