日本の食農分野のスタートアップ企業が登壇 ~農中、JAグループとカシコン銀行がピッチイベント~

日本の食農分野のスタートアップ企業が登壇 ~農中、JAグループとカシコン銀行がピッチイベント~

公開日 2023.06.13

農林中央金庫と、JAグループによるスタートアップ企業支援組織AgVenture Lab(アグベンチャーラボ)、そしてタイのカシコン銀行は5月17日、食品、農業分野における日本の先端的スタートアップ企業をタイに紹介するイベント、「AgriTech Bridge 2023」を開催した。会場はバンコク郊外ムアントンタニにカシコン・ビジネス・テクノロジー・グループ(KBTG)に保有するイベントスペース「K-Stadium」で、日本のスタートアップ企業8社がピッチを行った。

食農分野で日タイ連携を

同イベントではまずアグベンチャーラボの荻野浩輝代表理事長が開会あいさつし、「食糧危機と地球温暖化問題は深刻で、世界的な問題だ。今すぐに取り組む必要があるが、世界が一つにならないと解決できない。本イベントによってタイの皆さんと気持ちを一つにしたい」と強調。さらに、「カシコン銀行と農林中央金庫はタイ・日本の農業にコミットしている金融機関で、両国での食と農業の分野での連携協定を締結している。本イベントを通じてアグリテックやフードテックの分野でも連携を深めていきたい」と訴えた。また、同氏はアグベンチャーラボについて、農中が4年前にJA全農などと設立し、「農」「食」「暮らし」、そして「サステナビリティー」にかかわる社会課題を解決するためにスタートアップ企業を支援していると説明した。

アグベンチャーラボの荻野浩輝代表理事長
アグベンチャーラボの荻野浩輝代表理事長

タイは「世界の台所」目指す

続いて、カシコン銀行のパッタラポン・カンハスワン執行副頭取が登壇。「日本は、技術力とイノベーション、クリエイティビティーが融合した国だ。生産量を拡大し、サステナビリティーを高めることができる最先端技術を用いたスマート農業を含め、多くの産業のリーダーとなっている。一方、タイは東南アジアの農業の中心地として知られている。長年にわたり、農業部門は“世界の台所”を目指して国を牽引する重要な役割を果たすとともに、タイを世界的な観光国にしている」とアピールした。そして、「カシコン銀行は、アグベンチャーラボと8社の日本のスタートアップ企業との協力を通じて、両国の関係を一段と強化していきたい。この協力により、人や環境、ビジネスのつながりを広げ、サステナビリティーを維持し、将来のイノベーションのエコシステムを構築することを期待している。カシコン銀行は日本の企業や関連機関をサポートし、ASEAN市場への拡大も推進している」と強調した。

カシコン銀行のパッタラポン・カンハスワン執行副頭取
カシコン銀行のパッタラポン・カンハスワン執行副頭取

8社が先端的バイオ技術などをアピール

その後、日本のスタートアップ企業8社による会社紹介などのピッチが行われた。各社の事業概要は次の通り。各社のプレゼンテーションの詳細は改めてご紹介したい。

(1)Towing(トーイング)=名古屋大学発のスタートアップ企業で高機能の「バイオ炭」を開発。このバイオ炭は農地に炭素を貯蔵でき、有機農業に適した土壌を作ることができる。特定の微生物をバイオ炭に加える技術により、有機肥料をより効率化する。さらにこのバイオ炭を使うことで農家はカーボンクレジットを売ることができ、新たな収入につながる。

(2)Sagri(サグリ)=衛星データと人工知能(AI)を活用した機械学習技術を活用して農業と環境の課題解決に取り組んでいる。農地の土壌や生育の状態を可視化する「Sagri」と呼ぶ土壌分析サービスを提供。さらに、農地を自動で特定して地図に反映させる「AI Polygon」を提供しているほか、カーボンクレジットのプラットフォームを追加した。

(3)EF Polymer(EFポリマー)=果物の皮などの作物残渣から100%有機で、完全生分解性のある超吸収性ポリマーを開発。水分と液体肥料を維持するために土壌に混合するなどの利用方法がある。さらに生理用ナプキンなどに使われる化学物質から作られる吸水性ポリマーの代替ともなる。われわれの使命は干ばつ対策や持続的農業推進などを通じて世界中の農家を支援することだ。

(4)Ecologgie(エコロギー)=早稲田大学でのコオロギ研究から生まれたスタートアップ企業で、コオロギから作った食品や飼料を生産し、販売している。カンボジアにコオロギ農場に最適な場所を見つけ、生産規模の拡大に取り組んでいる。さらに、カンボジアの昆虫農家を支援するとともに環境保護活動を行っている。

(5)Ac-Planta(アクプランタ)=植物の潜在力を解き放ち、さまざまな環境下でも生育できるよう科学の力を活用する日本の農業バイオテクノロジー企業。「Skeepon」という革新的なソリューションは、遺伝子組み換え技術を使わない「epigenetics(DNAの塩基配列を変えない)」に基づき植物の干ばつや高温耐性を強化し、世界規模で水資源を大幅に節約しながら、農業生産性を劇的に高めることができる。

(6)Business Innovation Partners(事業革新パートナーズ)=ヘミセルロースを原料とした土壌および海洋生分解性を持つ環境に優しいバイオプラスチックを世界で初めて開発した。その製品である「HEMIX」は、木や植物の残渣から製造でき、素晴らしい流動性、透明性を持ち、従来の生分解性プラスチックでは不可能だったペットボトル、フィルム、ファイバー、シートの製造を可能にした。

(7)AGRI SMILE=農業生産者に対し、新しい農業資材の開発、農産物販売アドバイスなど、さまざまなイノベーティブなサービスを提供し、農業関係者にスマイルをもたらすのが目標だ。長年の連携を通じJAグループの巨大ネットワークにつながっている。

(8)Agnavi=「一合缶」ブランドで、日本全国に日本酒を販売している。180ミリリットル(一合)入りのアルミ缶は軽量、小型で廃棄も容易。輸出にも向いており、飲みやすいサイズで日本酒と日本文化を世界にアピールするのが狙いだ。

TJRI編集部

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