公開日 2017.11.17
松下 駿太郎
Manager
2009年にあらた監査法人に入所、日本において製造業を中心に約5年間監査業務に従事。
2015年9月にPwCタイに赴任。タイ国日本企業の会計監査、内部統制監査などの監査業務のサポートだけでなく、会社設立やビジネスライセンス取得、事業再編などを税務および法務面でサポートしている。日本国公認会計士。
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歳入法典第77/1条(10)に基づくVAT課税対象のサービスとは、「物品販売以外の価値のある便益をもたらす全ての行為」と定義されています。
VATの標準税率は7%ですが、歳入法典第80/1条によると、以下の取引について、0%のVAT税率が適用されます。
① 物品の輸出
② タイ国内で遂行され、海外で使用されたサービス(但し、歳入局長官の定める分類、要件等に準拠している必要がある)
※このサービスには、関税免除地区で物品を生産するためにタイ国内で遂行されたサービスも含まれる
③ 空輸・海運による国際輸送サービス
④ 海外からの援助・支援プロジェクトに基づく政府関連機関への物品販売/サービス提供(但し、歳入局の規則に準拠しているものに限る)
⑤ 大使館、外交使節、領事館、国連等への物品販売/サービス提供 (但し、歳入局の規則に準拠しているものに限る)
⑥ 保税倉庫間、保税倉庫と関税免除区域事業者との間、関税免除区域事業者間の物品販売/サービス提供
VATに関する歳入局長官通達105号の第2条および第3条によると、タイ国内で遂行されたサービスであっても、これが海外で完全に使用されるために提供されたサービスである場合は、0%のVAT税率を適用できます。但し、そのためにはVAT登録事業者の発行する請求に基づく支払書類(信用状(L/C)、電信送金記録(T/T)、支払条件に関する証憑、銀行との取引記録、その他送金に関する書類等)を整備しておく必要があります。
また、サービスの結果が完全にタイ国外で使用されたことについての挙証責任は、サービス提供者にあります。
サービスの一部がタイ国内で使用された場合、当該部分については7%のVATが課され、それ以外の部分については0%のVAT税率が適用できます。但し現在、この按分に係る明確なガイドラインはありませんので、全体として7%のVATが課される可能性がある点に注意が必要です。
タイ国外で遂行され、タイ国内で使用されたサービスは、「サービスの輸入」とみなされ、VATが課されます。例えば、日本法人A社が、タイを含むアジア地域の子会社に対して経営支援サービスを提供する場合、タイ子会社からA社に対する経営支援サービス料に対しては、7%のVATが課されます。
外国法人の代理人(※)がタイにいる場合、当該代理人は外国法人に代わってVAT事業者登録をし、毎月のVAT総額を翌月の15日までに歳入局に申告納税する義務を負います。他方、外国法人の代理人がタイにいない場合、サービス料を支払うタイ法人は、歳入法典第83/6条に従い、支払月の翌月7日までに申告書様式Por Phor 36にてVATを納付する義務を負います。支払人たるタイ法人にとって、納付したVATは「仕入VAT(Input VAT)」となり、「売上VAT(Output VAT)」から控除ができます。この意味で、支払者がVAT登録事業者である場合には、このようなVATの支払いは、タイ法人にとって資金負担となるものの、最終的には直接的な負担コストにはなりえません。
※ VAT課税上、代理人とは、タイ国外の販売者のため、またはそれに代わってタイ国内事業に関連して、契約の締結者、在庫管理、得意先の確保、その他の活動を行う者を言います。
PricewaterhouseCoopers
Legal & Tax Consultants Ltd.
15th Floor Bangkok City Tower, 179/74-80
South Sathorn Road, Bangkok 10120, Thailand
Tel: 0 2344 1000
THAIBIZ編集部
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