米テスラと追随メーカーの苦境、外国人旅行者数4000万人を目標に

米テスラと追随メーカーの苦境、外国人旅行者数4000万人を目標に

公開日 2024.04.22

英エコノミスト誌4月13日号はビジネス面で、米電気自動車(EV)最大手のテスラの苦境を改めて伝えている。タイトルは「テスラはトラブルの最中にあるのか?テスラになりたがっているEVライバルよりも残念な状況だ」というもの。同記事は「テスラは過去数カ月間、乱高下を続けてきた。テスラは1月に自動車愛好者のEVに対する熱が冷める中で、今年の伸び率は極めて低くなるだろうと警告した。同月、テスラは紅海での物流混乱を受けて、ドイツ・ベルリン近郊の工場の一次生産停止を余儀なくされた。特に安値攻勢を強める比亜迪(BYD)との競合を回避する中で、中国での市場シェアは低下している」と話を始める。

そして、「テスラは4月2日、新たな大きな穴にはまり込んだ。今年第1四半期の販売台数は前年同期比8.5%減の39万台未満になったと発表した。テスラの時価総額は今年に入り3分の1が失われ。5500億ドルに落ち込んだ。これは依然、他の自動車メーカーよりは大きいものの、2021年の1兆2000億ドルと比較すると、半分未満の水準だ」と説明する。

同記事はさらにテスラに追随する新興EVメーカーを紹介する。イーロン・マスク氏が3年前に、EV製造事業は1兆ドルビジネスになる可能性があると表現したことで、投資家らは次のテスラになることが約束されている新興企業支援に殺到したと指摘。この年の初めには、米国のEVスタートアップ企業2社が株式公開し、2007年創業のルシッド・モーターの時価総額は900億ドルを超え、2009年創業のリビアンは1500億ドルとなり、120年の歴史を持ち2021年には400万台の自動車を売った米フォードの時価総額を上回ったとシニカルに表現している。ちなみに、ルシッドの販売台数は120台、リビアンは920台だという。

さらに中国の理想汽車、蔚来汽車(NIO)、小鵬汽車(Xpeng)の新興EV3社を含めたテスラ追随5社の合計時価総額は2021年末には4000億ドルに達したが、現在では690億ドルまで落ち込んでおり、そのほかの米中の新興EVメーカーは上場廃止や経営危機に追い込まれていると報告。また、ベトナムのビンファストについても、昨年8月に時価総額は1900億ドルに達したが、現在では90億ドルまで激減していると紹介している。


4月17日付バンコク・ポスト(ビジネス2面)は、BYDの正規販売代理店レバー・オートモーティブの自動車ローン子会社のレバー・リーシングのイッサラ最高経営責任者(CEO)のインタビュー記事を掲載している。レバー・オートモティブは、長年、日産自動車など多くの日系企業とパートナーを組んでタイ自動車業界の財閥企業にのし上がったポンプラパー家の一族が経営している。同CEOは、レバーが野心的目標を達成するためのタイ市場で唯一のキャプティブ型EVリース会社だとした上で、来月、事業を開始し、数年でEVローン市場の大手プロバイダーになるとの抱負を語った。

同CEOは今年のタイ新車販売台数は前年比横ばいの78万台で、このうちEV販売台数は10万台と昨年の7万8000台から増えるだろうと予測。さらにEV販売台数に占めるBYDのシェアは50%(5万台)と前年並みのシェアを維持するとの見通しを示した。レバー・リーシングはBYD購入者に自動車ローンを提供するために、カシコン銀行、サイアム・コマーシャル銀行、アユタヤ銀行の大手3行とパートナーを組んでいることを明らかにした。


4月18日付バンコク・ポスト(ビジネス1面)によると、タイ国営石油会社(PTT)のブラニン最高執行責任者(COO)は、内燃機関(ICE)車の代替として電気自動車(EV)の人気が高まる中でも、水素がモビリティー技術や大気汚染を削減する手段に適した未来のエネルギーになる可能性はあるとの認識を示した。PTTはEV関連子会社アルンプラスを通じて、台湾の鴻海精密工業(フォックスコン)と合弁でタイ国内でEV生産に乗り出す予定だ。

一方、PTTは今年に入りタイ発電公社(EGAT)、サウジアラビアの再生可能エネルギー会社であるACWAパワーと「グリーン水素」の共同開発をすることで覚書(MOU)を締結したと発表した。ブラニン氏は、自動車産業に提供するために商業規模の水素燃料を製造することは容易ではないが、日本企業は長年水素燃料の研究開発を続けてきたと指摘。「もし自動車にとってバッテリーと水素のどちらが良いと聞かれたら、今はバッテリーだと答えるだろう」とする一方、これは、水素燃料の開発を無視していいということは意味しないと指摘。水素はこれまでも、トラックやバスなどの大型車や一部の工場で使われてきたと強調した。


4月17日付バンコク・ポスト(1面)によると、タイ観光・スポーツ省は、今年初めから4月14日までにタイを訪問した外国人旅行者数は1072万3953人となり、その観光収入は5180億バーツに達したことを明らかにした。国別では中国人が200万人以上とトップで、マレーシア人が139万人、ロシア人が69万5624人、韓国人が61万9186人、インド人が54万6935人と続いているという。同省はまた、今年の外国人旅行者数の目標を新型コロナウイルス流行前の2019年と同水準の4000万人に設定したことを明らかにした。さらに国内旅行者を含めた全観光収入は3兆バーツになるとの予測を示した。

THAIBIZ編集部

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