カテゴリー: ニュース
公開日 2024.09.30
英エコノミスト誌9月21日号はビジネス面で、「なぜハイブリッド車の熱狂(hype)は続かないのか」という興味深いタイトルの記事を掲載している。同記事は「自動車産業の脱炭素化の取り組みは石油をバッテリーに置き換えることを中心に展開している。両方を欲しがる顧客も増えている。完全電気自動車を買うことのできない人や充電ポイントを懸念する人は、プラグインハイブリッド(PHEV)車に向かっており、その販売が急増している。しかし、ハイブリッド車に対する熱狂は短期的なもので終わる可能性がある」と話を始める。
そして、昨年のバッテリー電気自動車(BEV)の販売台数は、PHEVの倍以上だったが、その差は急速に縮小しつつある。調査会社Bernsteinの推計によると、今年1~7月のPHEVの販売台数は前年同期比50%増だったが、BEVは同8%増にとどまった。そして、スウェーデンのボルボや米フォード、ヒュンダイ、独フォルクスワーゲンなどを例に挙げ、自動車メーカーもBEVに冷淡になり、PHEVを歓迎しているとする。そして、消費者もPHEVが、BEVに比べバッテリーが小さい分、値段が安いことを理由にPHEVに向かっているとする。さらに、自動車メーカーはBEVでは損失が出るが、PHEVは内燃機関(ICE)車同様の利益が上がるため、PHEVを好むという。
しかし、欧米の政府が依然、BEVシフトを推進していることや、バッテリー価格の下落、中国製との競合によるBEV価格の下落、そして充電ネットワークの拡大からPHEV人気はつかの間だろうとの見方を示す。Bersteinの予測ではPHEVは2030年まではシェアを拡大するが、その後、販売台数は安定化し、一方でBEVの販売は増加し続けるだろうという。また「現在は(PHEVが)勝っているが、最終的にはBEVが勝利するだろう」という別のコンサルタント会社の見方を紹介している。
この記事で個人的に違和感があるのは、PHEVをただ「ハイブリッド」と表記している場合が多いことだ。そして世界の自動車販売シェアの推移グラフでは、ICE、PHEV、BEVの3種類にしか分類しておらず、いわゆるトヨタ自動車が強みを持つ従来型のハイブリッド車がどこに分類されているのかが分らない。現在、欧米やタイでもこのハイブリッド車の人気が復活していることをどう分析しているかが不明だ。
9月23日付バンコク・ポスト(ビジネス3面)が、データ分析会社ディファレンシャルによる顧客リポートとして伝えたところによると、経済の低迷を理由にタイ人は新車購入を控えているという。同調査は2020年11月から2022年12月の間に自動車を購入した2500人以上を対象に行われ、そのうち70%の人が、現在の自動車を9年乗った後に新車の購入を検討すると回答したという。2017~2018年に自動車を購入した人を対象にした前回調査では、新車購入の検討は7年後だと答えていたという。ディファレンシャル(タイランド)の社長は、「新型コロナウイルス期間中に旅行需要が大幅に減り、前回調査期間に比べ累積走行距離が増えなかった」と説明。経済の不透明さが自動車オーナーの行動を決める役割を果たし、新車購入の遅れにつながっているとの認識を示した。
9月26日付バンコク・ポスト(ビジネス4面)によると、タイ下院の高等教育・科学・研究イノベーション担当委員会とタイ国家放送通信委員会(NBTC)はプリント回路基板(PCB)産業をタイのデジタルトランスフォーメーションの中核として全面支援していく方針を表明した。タイのPCB輸出額は1500億バーツで、世界のPCB市場の規模3兆バーツの約4%を占めている。下院委員会の諮問会議の会長を務めるタコーン氏は、PCBの世界市場規模は2026年までにさらに5300億バーツ拡大し、タイ国内市場もその恩恵を受けると説明。PCBは通信デバイス、スマート自動車、医療機器、人工知能(AI)サーバーなどの多くの電子・通信技術のバックボーンだと強調した。
9月26日付バンコク・ポスト(ビジネス4面)によると、サイアム・クボタのピサヌ執行副社長(販売・マーケティング・サービス担当)は、2024年のタイの農業機械市場の規模は前年比1~2%増の700億バーツに達するだろうとの予測を明らかにした。ただ、この予測では90万ライ(1ライ=1600平方メートル)以上の土地に打撃を与えた最近の深刻な洪水被害は考慮していない。一方で、干ばつの影響による農産物の減産、農産物価格の上昇が農家の新しい農機購買力を押し上げたことは反映しているという。同社は、今回の洪水が農業機械市場、農家、サイアム・クボタの販売ディーラーに与える影響をモニターしていると説明した。
THAIBIZ編集部
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