2025年を振り返る

カテゴリー： ビジネス・経済

連載： BizWings - 中小企業経営論

公開日 2025.12.09

2025年のタイは、政治・経済の両面で変化の大きな一年となりました。日系企業にとっても、環境の変化をどう受け止め、次の一歩につなげていくかが問われた年だったのではないでしょうか。本稿では、そんな一年を振り返りながら、そこに見えた学びと展望を共有したいと思います。

変化に満ちたタイ情勢

年央にはアヌティン氏が首相に就任し、政権の立て直しが進められるなど、政治情勢は不安定な局面が続きましたが、主要な政策の方向性はおおむね維持されました。

経済面では、世界的な景気減速の影響で成長率は2％台にとどまりましたが、政府は最低賃金の引き上げやデジタルウォレット配布などの施策で内需の下支えを図りました。

また、観光業の回復や東部経済回廊（EEC）地域を中心とした外国投資の堅調さも見られる一方で、貧富の格差や少子高齢化などの構造課題が引き続き議論の的となりました。

節目の年に新たな挑戦を

2025年は、当社にとっても節目の一年でした。10月に創業10周年を迎え、日本法人も設立1周年を迎える中で、非日系企業からの依頼が増え、英語での対応体制を整えるなど、変化に向き合う挑戦が続きました。

また、個人的には5月に経営学博士号（DBA）を取得し、自身の実務経験を学術的に振り返る機会を得ました。そしてこの学びにより、「現場を理論で説明する」ことの意義を改めて実感した一年でもあります。

経営における「学び」の大切さ

この一年の変化と学びを通じて改めて感じるのは、経営にも人生にも「これが完璧」という答えはないということです。知識を深めるほど新たな疑問が生まれ、理解の限界が見えてきます。だからこそ、限られた状況の中で成果を出すための工夫が求められる。その試行錯誤こそがビジネスの面白さであり、難しさではないでしょうか。

人工知能（AI）やデジタルが急速に発展し、経営判断のスピードが求められる時代だからこそ、人間としての洞察力や経験値をどう活かすかが重要になっています。学びを止めず、実践と省察を往復し続けること。

その積み重ねが、最も確かな競争力になると信じています。こうした考えは、個人にも組織にも共通するものであり、私たち自身も次の10年に向けて、何を強みとし、どう成長していくかを考える機会が増えています。

今後の変化を展望して

タイ社会全体が大きな転換点にある今、日系企業にとっても事業のあり方が問われています。事業構造の転換、次世代リーダー育成、そして現地化への対応。いずれも一朝一夕には進まない課題ですが、変化があるところには必ずチャンスがあります。

私たちも安心して相談できる専門家チームであり続けることを目指し、会計・税務にとどまらず、経営の持続的成長を支える伴走型の支援を重ねてまいります。

2025年も本コラムをご愛読いただきありがとうございました。新しい年が皆さまにとって、学びと成長に満ちた一年となりますよう心よりお祈り申し上げます。

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