カテゴリー: ビジネス・経済
公開日 2015.05.25
ビジネスホテルチェーン大手のスーパーホテルは、北海道から沖縄まで、日本全国に110店舗を展開する。2013年にはバンコクに海外1号店となるLohasスイーツを、続く14年にはベトナムのハノイに2号店をオープンした。
同社の主要顧客層であるビジネス出張者の多さに加え、年間約2500万人もの外国人観光客が訪れるタイは、市場として十分なポテンシャルを持つ。しかし狙いはこの市場だけではない。海外事業部長の山本健策氏が見ているのは、経済発展に伴い増加するアセアン諸国の中間層の日本旅行需要と、20年に開催予定の東京オリンピックだ。
「少子高齢化が進む日本ですが、まず5年後の東京オリンピックに伴う経済効果に期待が掛かります。日本政府や地方自治体も海外旅行客のインバウンド誘致は積極的に行っています。しかし、五輪の後は日本人ビジネスユーザーが減少する可能性があり、今のうちから海外へ日本のスーパーホテルというブランドの認知を上げておくことが重要だと考えました。現在、日本国内のお客様の約8割を占めているのはビジネス利用の方ですが、大阪や東京などの観光地では常に約1割、ハイシーズンになると約5割を観光利用のお客様が占めます。なかでもアジア圏から訪れる方の割合は多く、経済発展の進むアセアン諸国からのお客様は、今後も増えることが予想されます。この状況を見据えたとき、まず現地での知名度を上げることで、日本旅行の際もファーストブランドとして思い出していただけるよう、アセアン諸国での展開を拡大していく予定です。ミャンマー、フィリピンなどにもフィールドリサーチを進めています」。
山本氏は銀行系の情報関連 会社における勤務の後、2002年に同社へ入社。経営企画室、IT戦略部などを経て、経営品質部時代には日本一位のお客様満足度を獲得した。
事実、日本国内店舗の平均稼働率は90%を超えており、価格は抑えながらも充実した宿泊環境を提供するコストパフォーマンスとサービスレベルの高さには定評がある。
「日本ではビジネス利用のお客様が多いため、静かにぐっすり眠れて、仕事がはかどる、しっかり朝食の取れる環境に高評価をいただいていますが、今後インバウンドに注力するとなると、観光目的でいらっしゃる外国人の方の基準も考慮する必要が出てきます」。
日本人は設備や清潔度、サービスに求める品質レベルに厳しいが、部屋の使い方が丁寧な傾向にある。一方で欧米系外国人は求めるクオリティが日本人ほどではなく、価格に対して品質過剰になってしまう恐れがあるという。
海外進出においても同様に、日本のサービス基準がどこまで受け入れられるのかを模索している。山本氏は、「どの地においても画一的なサービスが受け入れられるとは限りません」と話す。
「健康や環境問題に関心を持つという〝Lohas〞な考え方は欧米や日本では浸透していますが、アセアン諸国においてはまだ一部の層に限られている印象です。しかし、この考え方が受け入れられれば、コアな層が生まれる可能性もあります。文化の違いがチャンスに化けることもあると思っています」。
THAIBIZ編集部
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