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カテゴリー: ASEAN・中国・インド, 会計・法務
連載: ONE ASIA LAWYERS - ASIAビジネス法務
公開日 2023.05.10
ベトナム統計総局(General Statistics Office of Vietnam:GSO)によると、2022年にベトナムを訪れた外国人旅行者は約366万人で、前年比23.3倍となりました。しかしながら、同年目標値(500万人)には届かず、コロナ禍前の2019年(約1,800万人)と比べて、約5分の1の数となっています。
2023年第1四半期(1~3月)の外国人旅行者数は約270万人となっており、去年を大きく上回る勢いとなっていますが、ベトナム政府は外国人旅行者の更なる増加を図るべく、ビザ・入国関連の規制の緩和を検討しています。
政府は、23年5月22日から開かれる国会において、入国ビザに関して次の3点を改正する決議案を提出する予定です。
日本人がベトナムを観光など短期の滞在を目的として訪問する際には、日本はビザ免除対象国であるため、ビザ免除制度を利用して入国する例が多いと思われます。そのため、上記の滞在許可期間が45日に延長される措置は朗報といえます。現時点では、滞在が許可されるための諸条件は明らかになっていませんが、特にビジネス旅行者は短期間に出入国を繰り返すことも多いと思われるため、短期間に出入りしやすい規定になることが望まれます。
ベトナムでは出入国に関する法令が、「ベトナム人の出入国法」と「外国人の出入国・通過・居住法」と2つに分かれており、10月から開かれる国会で、これらの法令の改正が予定されています。
行政手続上の所管の問題や電子的手続の導入など、ベトナムの経済・社会発展推進を念頭に、現在発生している問題を解決する形で改正することが予定されています。現状ではこれ以上の情報がありませんが、外国人の入国・滞在に関連する諸手続は、わかりにくく、時間がかかるのが実情ですので、よりスムーズ・スピーディーになる方向で改正が進められることが期待されます。
昨今は、外国人の労働許可申請が厳格に運用され、数ヵ月間にわたって何度も申請書類の修正・提出を求められる事例が多くなっています。手続に時間がかかりすぎる、規定が不明瞭であるといった批判の声が外資企業を中心に高まっていたところ、4月6日にホーチミン市で、「外国人労働者の労働許可証及び出入国手続に関するホーチミン市と外資企業の対話集会」が開かれました。
ホーチミン市側は、外国人の労働許可を所管する労働傷病兵社会局、出入国を所管する公安の担当者、企業側は、欧州、米国、シンガポール、日本、韓国、インド、香港、マレーシアなどの商工会議所等の団体、ほか一般企業の担当者が出席する形で実施され、当局側から規定の運用状況や問題点の共有などがなされました。200~300名収容可能と見られる会場は満員で、約2時間半の集会は途中退席者もほとんど見られず、非常に活気のある会となりました。
事前に65の質問が寄せられていただけでなく、当日の質疑応答の際にも多くの質問がなされており、外国人の労働許可手続に対して多くの不満を抱えていることが当局にも伝わったと思料されます。法改正やこうした対話を通じて、早急に外国人の労働許可証の取得手続がスムーズになされることが政府に対して期待されています。
松谷 亮
One Asia Lawyers 日系大手のIT企業および化学・電子部品メーカーにて社内弁護士として合計5年間勤務後、2019年よりOne Asia Lawyersベトナム事務所へ入所。クロスボーダーの新規事業開発案件、取引相手との紛争処理案件、知的財産に関する契約交渉、紛争処理案件を数多く経験しており、IT・製造業の法務案件を専門とする。
山本 史
One Asia Lawyersベトナム事務所に駐在。ベトナム国内で10年以上の実務経験を有する。ネイティブレベルのベトナム語を駆使し、現地弁護士と協働して各種法律調査や進出日系企業に対して各種法的なサポートを行う。
THAIBIZ編集部
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