内部監査のススメ：不正防止から業務改善まで

カテゴリー： 組織・人事

連載： BizWings - 中小企業経営論

公開日 2024.10.10

内部監査とは、組織の活動に価値を加え、その運営を改善するための独立した客観的な保証およびコンサルティング活動であるとされています。その名称から、一般的には内部監査が社内不正の防止や発見を主な目的とするもの、というイメージが強いかもしれませんが、この定義にある通り、内部監査は単なる監視や監査という範疇を超え、企業活動全般にわたる価値創造の一環として捉えるべきです。

不正防止以上の役割を果たす内部監査

内部監査を通じて従業員による資金着服やその他の不正行為を防止することは重要な役割の一つです。私自身も、タイにおける多くの日系企業が内部監査を活用し、こうした不正の防止や対応に努めている現場を見てきました。弊社でも、クライアント企業が内部監査を通じて不正を未然に防ぐことをサポートしてきました。しかし、内部監査の価値はこれにとどまらず、むしろそれ以上の意義を持つものと考えています。

業務の改善や効率化の促進

内部監査は、組織の業務プロセスに対して客観的な視点を提供し、業務の改善や効率化を促進するための強力なツールとなり得ます。

例えば、会計業務は企業にとって非常に重要な業務の一つですが、その業務改善を会計部門だけに委ねてしまうと、現状のやり方に固執してしまうケースが多く見られます。なぜなら、会計部門の主要なミッションは、既存の業務を既存の方法で期限内に遂行することであり、業務の改善や変革はそのミッションに優先されないことが多いからです。このため、内部監査を活用することで、第三者の立場から業務プロセスを冷静に見直し、より効率的で効果的な方法を提案することが可能になります。

具体例として、会計業務のフローを見直す過程で、無駄な手続きや二重業務が発見され、業務の簡素化やデジタル化が図られたケースがあります。また、内部監査を通じて、部門間のコミュニケーション不足が原因で生じていた業務の非効率が明らかになり、よりスムーズな情報共有体制が構築された事例もあります。

このように、内部監査は不正防止という「守り」の側面だけでなく、業務効率の向上や組織全体のパフォーマンス向上という「攻め」の側面にも大きく貢献できるのです。

効果的な活用が競争力の向上へ

現在、タイにおけるビジネス環境は急速に変化しており、競争が激化しています。既存の業務を従来の方法で行い続けるだけでは、競争に打ち勝つのは難しい状況です。こうした環境下では、内部監査を通じて、企業全体の業務プロセスを見直し、効率化と改善の余地を探ることがますます重要になっています。

社内でそうした機能を充足するのが難しい場合、弊社も含めて外部の専門家に依頼することも可能です。このように、内部監査を効果的に活用することで、競争優位性を確保し、長期的な成長を実現するための礎を築くことができるでしょう。

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